2015年4月12日日曜日

フィリップ・デュフォー(Philippe Dufour)のモノ作り

スイスにフィリップ・デュフォーという独立時計師がいます。


この人は、時計に関わる部品をネジ一本から自分で削りだすという、
現代では考えられないようなとんでもない手法で一本の時計を作り出す時計師です。


そんな作り方なので当然一年に何十本もつくることはできず、
これまでに作られた数も限られていますから、
残念ながら実物を拝見したことはありません。
(仮に実物を見たところで一本500万以上するので買えるわけないですけどね…)


でも、画像や映像(昔NHKの『独立時計師たちの小宇宙』という番組で詳しく取り上げられていました)だけでも、この作品を知りその美しさに酔いしれる価値はあると思います。


100点以上ある全ての部品を独力で設計し、
1mmか2mm、ときにはそれよりも小さい部品を顕微鏡を使いながら切削して丹念に磨き、
さらには組み立ても行うという、
気の遠くなるような根気のいる作業を経て作られる一本の時計…


芸術の値段というのは、
知らない人が見れば馬鹿げたようなとんでもない価格がつくことがありますが、
その価値に共鳴する人々にとっては魔法のようにすっと受け入れてしまうものです。


最近前述のNHKの番組を再見し、
デュフォーさんの仕事をじっくりと拝見して、
改めてこの一本の価値を再認識しました。


シンプルさの中にある足すことも引くこともできない絶対的な美しさのバランス…
所有するなんて夢のまた夢ですが、
個人的には↓のたった一枚の写真を眺めるだけで十分なくらい、
その佇まいの厳かさに圧倒されます。


↓の時計は”シンプリシティ”という名前ですが、
「シンプル」という言葉は「簡素」「簡潔」という訳では
十分に意味が通じないと思います。


考えに考え、練りに練った厳格で研ぎ澄まされた審査を経て、
やっと辿り着く数本の線、
それが「シンプル」だと思うのです。




詳細な情報はこのリンクがとてもわかりやすいです。

2015年4月7日火曜日

自然の音

無音の生活もたまにはいいですが、やはり音楽が流れている生活というのは豊かなものですね。

生活に音楽を流すために、別に高価なオーディオ機器を揃える必要はありません。

例えば、散歩や仕事の帰り道、あるいはいい具合に酔っ払った時に口ずさむ鼻歌の快感といったらないですよね。演歌やカントリー・ソングのように、ボロい車のいまいちなスピーカーから流れるから良い、というものもあります。

今は色々な再生機械があるので、人間の作った曲はいとも簡単に再生できますが、自然の音楽を生音源で聴くのは難しくなってしまいました。

むかし神社の境内で遊ぶとき、ご神木が風に吹かれてザワザワしている音を聴くのが好きでした。浜辺や港の夕方の静かな波の音が好きでした。

今住んでいる場所は海とか神社は無いのですが、そこらじゅうに大きな公園があるので暖かくなると、ガマガエルやら虫の鳴き声をしょっちゅう聴くことができます。

そういう瞬間に小さな喜びがあります。