2015年9月5日土曜日

オリンピックのエンブレムのこと

初めに言っておきますが、自分はデザインの専門教育を受けたわけでも無いし、デザインの仕事を専業にしているわけではありません。

まあ、そうは言っても新製品を企画して造形するときは、足りない頭が引きちぎれるくらい悩むこともあるし、集中してデザインを詰めているときは、あっと言うまに夜が明けていた、なんてことも何度もありました。

というわけで、僭越ながらデザイン業界のほんの端っこにいる者として今回のことの感想を述べたいと思います。

まず、模倣の疑いさえ無ければ今回のロゴは悪くなかった、むしろかなりかっこよかったなあ、と思ったのが個人的な意見。

多分5年後にも飽きないで見てられるシンプルで普遍的な造形と躍動感。

展開案が分かりやすかったかはさて置き、パラリンピックロゴと並んだときの構図の美しきはやはりプロの仕事だなあ、って素直に感心しました。

ただ、だからこそ原案の元になったと思しきフォントを見たときのがっかり感は否めませんでした。

結局、この美しさは原案の元のフォントの美しさに拠るものが大きいのかと。

どんなに美しいデザインでも疑惑の暗い心のフィルターをかけて見れば曇ってしまう。

疑惑が無ければ本当にデザインの歴史に誇れるものの一つになり得たのではないか。ごく一個人の意見ではありますが、それが惜しくてたまりません。

あのデザイナーの全てを肯定することはできないにしろ、(いいものを拾い取る?)センスはずば抜けたものがあると、きちんと評価すべきだと思います。

世間がどう批判しようが、時期が来たら、今までのやり方は変えてもらうにしても、しっかりと復活してほしい。

それが今回の出来事で傷ついた日本のデザイン業界にとって一番の処方箋になるのではないかと思えてなりません。