2013年12月24日火曜日

深川のグランチェスターハウス

前から気になっていた吉岡徳仁さんの展覧会を東京都現代美術館で見た帰り、ブラブラと清澄白河駅まで道を散歩していたところ、面白そうなギャラリーを発見したのでふらりと入ってみました。

http://www.shimura-hiroshi.com/gh/gh-01.html

オーナーは不在でしたがスタッフの方に色々お話を伺ったところ、オーナーは志村博さんという在英のアーティストで、シルクスクリーンの作品で有名な方だそうです。

ギャラリーの中は志村さんの作品とともに、志村さんがヨーロッパで集めたという古本やアンティークグラスがずらり。古本の中には19世紀の本などもあり、その保存状態の良さやら綺麗さやら珍しさに感動して結構長居してしまいました。

趣味の良いそれらのコレクションを見たり、とうの昔に忘れたフランス語やら英語の単語を眺めていると、行ったこともないヨーロッパの風景やら生活様式が浮かんできて、しばしの間うっとりとした気持ちになってしまいました。

実は深川に行ったのも初めてで、話や映像で見聞きしたようないわゆる江戸の下町情緒が残るとても面白い街でしたが、徒歩で行けば10分以内の場所に突然一軒ヨーロッパが現れ、美術館に行けば吉岡徳仁さんの作り上げたクリスタルの世界がある…。

偶然にも数時間の間に3つの全く違う空間を味わうことができましたが、日本というか東京に特徴的な複合文化の共存というものをはっきりと感じることができて、思いのほか楽しい一日になりました。

下駄の楽しみ

下駄を履くときの特別な気持ちというのは普段は味わえない快感です。

「下駄を鳴らす」ということばがありますが、履物で音を楽めるなんて風流なことですよね。

意外かもしれませんが、小雨くらいの日は下駄履きの方が靴履きより快適なことがあります。もちろんゴム長靴とか防水仕様の靴を除けばという程度の話ですが。

なぜかというと、まずは下駄は底と地面からの距離が靴より高いので水貯まりに入っても直接足が濡れることがありません。

また、下駄の歯は靴よりも地面との接地面が少ないので、いわゆる跳ねっ返りで後足が濡れることが靴よりも少ないのです。まあ多少濡れたとしてもさっと足と下駄を拭けば、後に嫌な匂いも残りません。

靴は草履・雪駄・下駄といった日本の履物よりも気密性が高いので水分やら匂いのもとが履物に残りやすくなってしまうことは否めません。「蒸れない」「湿気を残さない」ということは日本というか東アジアの伝統的な生活様式において非常に重視されてきたことですが、履物においても同じです。

無論「運動する」「長時間を踏破する」といった用途では靴の方が優れていることは否めませんが(地下足袋の運動性能の高さは別として)、例えば晴天時の街歩き等の用途では、音を楽しむという要素も加えて下駄履きも選択の中にあっても面白いのではないかと思います。

あとはまあ、下駄をどんな服に合わせるかいう問題もありますが、色々な着こなしで履いてみて自然と似合う格好を見つけられたらいいでしょうね。

2013年12月22日日曜日

vanson(バンソン)のモノ作り

バイクに乗るわけでは無いですが、ゴッツイ革ジャンが欲しくなりヤフオクであれこれ探して、vansonの「B」というシングルライダースジャケットをとても安く手に入れることが出来ました。

さっそく着てみると、想像以上の重さがあり一日着るだけで肩こりがするということと、まだ革が固くて腕を上下するにも苦労するという試練がありましたが、そんなことはほんの些事であるかの如くこのジャケットにはそれ以上の魅力があることがわかりました。

重さの問題はあるにせよ、なにより防寒着としてとても優れています。とても暖かいというのとはまた違うのですが、凍えるようなことは無いし、特に着ていてほとんど蒸れが無いというのは快適さにおいてとても大きいことだと思います。

フリースやダウン素材の防寒着は単純な暖かさという点では革素材の上をいきますが、これらは過熱しすぎて歩きまわっていると暑くなり汗をかくくらい蒸れが生じることがあります。革というのは不思議なものでやはり元々動物の体表にあったものだけあって、体温調整する仕組みが備わっているのでしょうか、保温性と透湿性のバランスがとても優れていると感じます。

嗜好的な面でいうと、このジャケットの革はやはり一級品だと感じさせるものがあります。ただし、一般的な高級革製品特徴である柔らかくて軽いとかいったものとは全く逆のでカチコチに硬くて分厚いのですが、野趣、耐久性という面で申し分ありません。

革の表面はテカテカに光るくらい艶々した光沢があり、それでいて触るとしっとりとした感触を楽しみことができ、それだけで革愛好家の皆さんはこのジャケットを手に入れた価値を感じることができるでしょう。



革靴を履き慣らすことと似て、手強い素材を使っていくうちに慣らして使いやすくすることは、とてもとても楽しいことです。

なにも無ければこれから10年以上の付き合いになる服でしょうから、この数年でどう育てていくかがこれから楽しみです。

2013年12月15日日曜日

ディーター・ラムスのデザインに思うこと

ディーター・ラムスの「デザインの10の原則」というものがあります。

1. 革新的である
2. 便利にする
3. 美しい
4. 分かりやすい
5. 慎み深い
6. 正直
7. 恒久的
8. 首尾一貫している
9. 環境に配慮する
10.可能な限りデザインをしない


彼の著名な作品は40〜50年前にデザインされたものがほとんどですが、今見ても全然色褪せない斬新さや美しさに溢れています。

ラムスがデザインを通して伝えたかったことは「消費し続ける文明に警鐘を鳴らす」ことだったといいます。

真に素晴らしいデザインと機能性を持つ商品は捨てられないし大事にされる。長く使える良い物を作るというごく当たり前の発想が根幹にあれば、流行には一歩距離を置かざるをえません。

過剰なマーケティングや宣伝からちょっと距離をおいてみる(残念ながら一切交流を断つと商売ができません)と、本当に有益なデザインのあり方がより鮮明になるのではないかと考えています。

Tricker’s(トリッカーズ)のモノ作り

トリッカーズのカントリーといえば、ある程度靴が好きな方なら誰しもが知っている名品の一つです。


この靴の魅力は武骨さと不便さを楽しむ、といったところでしょうか。


履きこむごとに味わいの増す、革靴の楽しさがダイレクトに感じられる最高の靴ですが、難点が無いわけではなく、例えば踵の作りがとても大きく、踵が小さい標準的日本人の足型の人が薄い靴下で履くと靴ずれが起きます。


登山に使うような厚手の靴下であれば問題ありません。もともと野外活動で使うことを想定して作られた靴ですので、靴下もそういった用途のものを合わせるのが正解でしょうね。

純正のシューレース(靴紐)はやや摩耗に弱く、結構すぐに靴紐を買い換える必要があります。化学繊維混紡の丈夫な紐に買い換えてもいいでしょうが、やはりあのカントリーブーツに合う紐は雰囲気からして純正品が一番だと思います。まあこれは各々の好みといったところでしょうか。

また中底に詰められているコルクの量が非常に多いため(これは後年の履き心地の向上に計り知れない恩恵をもたらすわけですが)、中底の沈み込みの分量が非常に多くなっています。


ですので、購入時にきついサイズを買っておかないと、後々かなりブカブカになってしまいます。JMウェストンの場合と同様にこちらも購入の際はかなりキツめのフィッティングのものを選ばれるのが良いかと思います。


最初の苦行は1年後の醸成された履き心地を楽しむための準備期間として考えたほうがよいでしょう。


こういうフィッティングを薦められるのも、きちんと自分の足型に合う柔軟性としなやかさを持つ高品質な革をきちんと使っている製品だからこそです。


良いレビューが溢れかえっている本当の名品だからこそ、事前情報をきっちり把握した上で自分にあった最高の一足を見つけて頂ければと思います。ちゃんと手入れすれば本当に一生ものですからね。

2013年12月10日火曜日

素顔

長渕剛さんの魅力は強さと弱さ、男らしさと女らしさ、優しさと粗雑さ、といった一見相反するものが同居している、なんとも「人間」なんだよなあ〜というところに尽きるのではないかと思っています。

頻繁に聴くことはなくなったけれど、たまに無性に唄いたくなり、恥ずかしながら気づけば夜道で一人唄ってしまうこともしばしばです。

好きな曲は数知れずですが、何回も何回も聴くのは↓みたいな感じです。

・素顔
・交差点
・祈り
・夏祭り
・何の矛盾もない
・シリアス
・裸足のまんまで



やっぱりバンダナ剛時代が一番だな…


アルバムだったら、私は『家族』が一番好きですが、一般的には『LICENSE』『昭和』『JAPAN』『JEEP』を聴いておけば間違いないと言われています。

癖があり過ぎて好みが分かれるとは思いますが、やっぱり一度とは言わず三回同じ曲をできればライブ音源で聴いてみてほしいな〜と思います。

その時にきっとこの歌手の本当の素晴らしさが分かるはず!

ホイポイカプセルが欲しい

某冒険漫画で何でもカプセルに詰め込めるという素晴らしい道具がありましたが、本当にこれあったらいいなあと思います。

カプセルハウスっていうのは、狭すぎず広すぎずのあの丁度いい広さが何となく冒険心をくすぐります。

いくらカプセルになんでも入るからといって、広い荒野に大豪邸が簡単にできても興ざめですし、冒険のやどにはちょっと窮屈で不便くらいが心地いいのかもしれませんね。

大魔王の故郷のあの星で、テント代わりにカプセルハウスっていうのが堪らなく羨ましかったなあ〜とふと思い出しました。

2013年12月8日日曜日

patagonia(パタゴニア)のモノ作り

アウトドアウェアメーカーのpatagonia(パタゴニア)は、自分の持っている衣類の中で、最も長く愛用しているモノが多いブランドです。

10年くらい前に買ったダウンセーターという商品は未だに現役で毎年着ていますが、全然ヘタれないし飽きることもありません。
普通に使っていれば全く壊れないし、ちょっとボロくなったくらいにもの凄く愛着が湧いてくるのが不思議です。

高機能ウェアはいくらでもありますが、「着古す」ということの楽しみを味わえるブランドはそう多くありません。

味わい尽くした服の末路までキチンと用意されているのは、単に顧客増のためのパフォーマンスでは無く企業理念の根幹であるからだと思います。

業種に関わらず、このブランドに見習うことは本当に多いと思います。




J.M WESTON(ジェイエムウェストン)のモノ作り

今まで購入した靴の中で、最もその作りの秀逸さに感動したものといえば、「J.M WESTON(JMウェストン)」の「GOLF(ゴルフ)」に尽きます。


見た目は休日のお父さんがよく履いていそうな極めてオーソドックスなデザインながら、素材・縫製・履き心地全てが完璧です。


ただ、履き心地については注釈が必要で、「1年後の」履き心地という方が正確ですね。


かなりタイトめサイズを購入して、革が自分の足に馴染むまで待つという方法を採ったため、履き始めてから最初の半年は履く度に足が悲鳴を上げているような状況でしたが、やっと革が自分の足型に馴染んできてくれた後は、もう極上のフィット感に生まれ変わってくれました。


素材は非常にきめ細かい上質なカーフを使っているらしく、すべすべでしっとりした触り心地はまるで赤ちゃんの肌のようです。(カーフという素材は元々そういうものだと考えると、複雑な気分ですがここは素直に感謝しましょう)


同じ価格帯の海外高級ブランドはいくらでもありますが、購入した後の個人的な納得感という点で、ここ以上のものはなかなかありません。


同じ製造者として、素材へのこだわりはもちろん、永続的なデザイン、つまり何年も使い続けられるであろうモノをずっと作り続けている点で、常に憧れを感じています。


ちょっと(というかかなり)高いですが、このブランドの製品は絶対に買って損は無いと思いますね。





2013年11月27日水曜日

愛おしき試作品たち


誰かに頼まれて手縫いで作ったり、頼まれてもいないけど勝手に作ってプレゼントしたりすることもありました。商品化することもないし、出来栄えは職人さんに及ばないけれど、一つ一つ作った当時のことを思い返すととてもとても感慨深いものがあります。

下の写真にある作品はどれももう手元にはありませんが、手荒にでもいいので使われていてほしいなあ、と思う次第です。





2013年11月26日火曜日

『東京物語』を観る

最近やたらと雑誌やWebサイトで小津安二郎さんの名前を見ると思ったら、今年は生誕110年だそうです。

というわけで、彼の映画は見たことが無かったけれど一番有名な『東京物語』を試しに観てみることにしました。

感想は…というとやはり名作と言われているだけのことはあり、それはとても面白く美しい映画でした。とはいえ映画のレビューとかそういうのは偉そうにできませんので、あくまで自分の視点で印象に残ったものを書いてみようかと思います。

☆旅荷物の少なさ
この映画は老夫婦の上京と旅をテーマした映画なので、冒頭に旅支度のシーンがあるのですが、もの凄く荷物が少ないのです。おそらく東京に何日も滞在すると想定しているはずなのに、おじいさんもおばあさんも荷物はほんの日帰りで使うような小さいスーツケースとボストンバッグだけなのです。
それもそのはず、この老夫婦は東京にいる間外出着と寝間着はずっと同じものを着ています。それ以外何も持ち歩かないのです。
夏の旅行だからというのもあると思いますが、長期旅行というと馬鹿でかいスーツケースとかドラムバッグを引きずって行くのが見慣れた光景となった現代からはとても新鮮に見えます。多少の不便はあっても旅は身軽な方が気分がいいですね。

☆熱海の海
映画史に残る名作に熱海がロケ地と使われていると知ったこともこの映画を見るきっかけの一つでした。作品の中では騒がしい観光地として残念な扱いにされてしまいましたが、夫婦が堤防で佇む引きのカットの構図の美しさときたら、それだけでもこの映画を見る価値があると思います。昔はホテルも熱海城も無く堤防と旅館だけがあったことをこの映画で初めて知りましたが、それ故に美しかった。今の熱海を見たらきっと小津監督は熱海をロケ地に使わなかったでしょうが、だからすごく悔しい気持ちです。

※※※
熱海の海はごちゃごちゃしていますが、多賀の海はいい感じだと思います。
是非ロケ地に使ってほしいですね〜






半世紀以上前の映画で風習も言葉遣いも景色もなにもかも全て現代と違っているのに、何故か古臭さを一切感じさせない映画です。

名画というと却って敬遠するされるきらいもありますが、この映画は絶対に観て損はありませんよ。

Amazonで販売始めました〜

販路を増やしてみよう!ということで、Amazonで商品の販売を始めました。

今のところ商品は財布のみですが、良かったら覗いて頂ければと思います。
ご愛顧の程宜しくお願いします。


2013年10月28日月曜日

NBAが始まる!

プロ野球も終わり、日本ではそろそろストープリーグの話題ばかりになってきますが、海の向こうアメリカではいよいよプロバスケットボールリーグ、NBAのシーズンが始まります。

マイケル・ジョーダンが現役の頃はNBAの話題は日本のマスコミでも大きく報道されていましたが、当時に比べれば扱いがとても小さくなってしまいました。でも今でも世界的には大変人気のあるプロリーグであることには変わりはなく、アメリカ以外の外国からNBAに参加する選手の増加により、むしろヨーロッパやアジアなどではジョーダンの現役時代である1990年代より人気が向上しています。

以前のブログでも書きましたが、私が最初にNBAに興味を持ったのはバスケットボールシューズ(バッシュ)からでした。正直当時は野球の方が好きでしたので、バスケのことはほとんど知らず、ジャンプで連載していたスラムダンクも週刊誌上でのあまりの展開の遅さにほとんど読み飛ばしていたので(今考えると勿体無いですが…)、NBAって何?っていう感じでした。

でも当時の爆発的なスニーカーブームにはバッチリ影響を受け、もちろん1万円も2万円もするスニーカーを買えるわけでも無いのですが、若者に人気のあったBoonという雑誌を見ては、ここに載っているかっこいいバッシュいつか欲しいなぁ〜と思っていたわけです。そうした中で、ふと雑誌の通販欄で見た”エアジョーダン11”の斬新かつシンプルなデザインや高貴なオーラは、あまり画質も良くない写真ではありましたが、他のどのバッシュとは全然違う別格のものでした。

別にバスケ部でも無かったので、それを履いてプレーをするわけではなかったのですが、バッシュという存在自体の魅力に取り憑かれたため、それ以来リリースされた何百ものバッシュを欠かさずチェックしてきましたが、このシューズ以上の衝撃は未だにありません。

「完璧とは削るものが無くなったときに実現される」という言葉が好きですが、この精神をこれほど体現しているシューズは無い、今でも思います。



多分このバッシュは私服には全然合わない(当時は私服にバッシュを合わせることが流行っていた)し、下手くそな選手が履いても靴の存在感に負けるだけで惨めだろう、と勝手も思い込んでいたため、スニーカーブーム以降に何度も復刻はされましたが、自分で買うことはありませんでした。「ご尊像を拝む」というと大げさですが、その衝撃の瞬間から遠くにありて仰ぎ見る存在になったわけです。

さて、マイケル・ジョーダンの存在を知る前にエアジョーダンというスニーカーの魅力に取り憑かれ、こんな美しいシューズを専用に作ってもらえる選手はどんな人なんだろうと思って深夜のBS放送を見たのがNBAを見始めたきっかけです。

確か初めて見たのは1996年のブルズ対ロケッツ戦だったと記憶しており、細かいことは忘れてしまいましたが、ジョーダンが完全なフリーから決めた2本のダンク(ボースハンドとトマホーク)の衝撃は忘れようがありません。運動能力的には全盛期を過ぎたと言われていましたが、彼の動きやオーラは何もかも他の選手と全てが違っていました。スポーツが芸術であることを初めて納得した瞬間でもありました。





ジョーダンに対する評論それだけで本が何冊も出る程、エピソードや伝説には枚挙に暇がありませんが、YOUTUBEでたまに昔の試合を見ると、どのハイライト集にも取り上げられたことは無いけど信じられないような動きをしているのを発見して驚かされることがあります。彼がプロデビューしたのはもう30年近く昔になるのですが、その当時の映像を見て未だに新鮮な驚きがあるなんて信じられないかもしれないですが本当の話なのです。

本当に優れた音楽、絵画、文学の素晴らしさに時間の壁は存在しませんが、この人物のプレーには芸術を名乗る価値が十二分にあると思っています。

ジョーダン程のレベルでプレーに芸術性を感じさせる選手はまだ現れてはおらず(レブロンやコービーは実績ではジョーダンに迫るものがありますが、プレーの芸術性ではまだ及ばないでしょう)、日本のプロ野球で言えば、例えば王選手のような傑出した人物が現れるのは稀であることは分かっているけれども、時代は進んでおり新しい選手は次々と現れています。

次のジョーダンを探すというわけでもないですが、これから約半年間始まる高揚感は毎年の事ながら堪らないですね。

ちなみにどうでもいいですが、私の贔屓のチームはサンアントニオ・スパーズで、今季の注目選手はクワイ・レナードという選手です。私はこのチームが醸し出すいい意味での武士道精神みたいな雰囲気が堪らなく好きなのです。

この記事でちょっと興味が湧いたのであれば、是非NBAを見てみてください。冬のスポーツ観戦の楽しみが確実に一つ増えること間違い無しです。


2013年10月8日火曜日

歴史の愉しみ〜遺跡に思う〜

学校の授業でひたすら暗記をさせられて本当にうんざりして歴史が嫌いになったという人は、私の知る限りでも大勢います。

しかし、年号や教科書に載っていることが現実のものとして感じられるとき、積み重ねられた歴史に対する驚きや興奮、敬意を感じることができます。

現実のものとして感じるのはどういうときか。例えば実際に歴史的出来事を体験した人から直接話しを聞く、当時の書物や遺物、遺跡を自分の目で見る等あります。

私は学生時代に遺跡の発掘に参加できたという幸運があり、人々が生きた歴史を自分の中で噛みしめるという、普通ではなかなか得難い体験をすることができました。

何の変哲も無い田舎の畑を発掘して、千年前に中国で作られた磁器を見つけた時の感激や興奮は、それから十年以上経った今でも鮮明にはっきりと覚えています。

とはいえ、誰しも気軽に発掘をできるわけでは無いのでこの興奮を共有するのは難しいのですが、例えばどの街にもある神社やお寺でも、あるいは歴史的建造物などに行った際、ちょっと足を止めて掲示されている建物の説明書きを読み、想像してみてください。

戦乱や天災で建物自体は壊れても、大抵の場合寺社仏閣は同じ場所に再建されることがほとんどです。テレビも携帯電話も写真も自動車も無く、和服を着てちょんまげを結んでいた時代の人々と同じ場所に立ち、同じように神様を拝んでいる。
歴史の積み重ねがあり、そして現在があることに対する感謝の気持ちを感じることができる瞬間です。

切り詰められた時間を生きている現代だからこそ、過去の有り様から現在を見つめなおすということも、時に必要なのではないかと思います。

2013年10月7日月曜日

山羊革の理由


今回作った財布はほとんどが山羊の革でできています。
私は最も定番の牛革ももちろん好きなのですが、一風変わったものに惹かれること多いので今回は初めて商品に山羊の革を使ってみることにしました。





この革の特徴は丈夫で柔らかいという実用性もさることながら、加工によって美しい光沢が出せるということが一番の魅力ではないかと思います。
今回この財布を作ってもらった工房で初めてこの革を見たとき、その艶、シボの美しさ、肌触りの良さに思わず一目惚れして即決でこの素材を選びました。

自分の趣味でサンプルやプレゼント用に作品を作るときもなぜか山羊革を選ぶことが多く、やはりもともとこの素材が好きだったんだなあ、としみじみ思う次第です。

2013年10月5日土曜日

赤い財布が出来ました

赤い財布が出来ました。

新しい商品の開発は一人でやっていると、本当にしんどいものがあります。
だからこそやっと完成した時の嬉しさや達成観は何者にも代え難い喜びです。

デザイン、サンプル作り、仕様の決定から、
製造元の職人さんに依頼して製品が出来上がるまでじっくりとこだわり作り上げました。

今回作ってもらった工房の技術は、海外ブランドも含めて私が今まで見てきたどんな製品にも負けないと自負しています。

極めてシンプルではありますが、精緻に作りこまれた工芸品の素晴らしさを是非体験して頂ければと思います。

http://seiyodo.ocnk.net/product/3













































2013年7月8日月曜日

山が好き

静洋堂のロゴデザインのモチーフは海なのですが、実際行くのは山の方が多かったりします。

定期的に山を登ったり歩いたりするようになってから、もう何年経ったかは定かではありませんが、北アルプスの難しい山に挑戦したり百名山を制覇するような気持ちでレベルアップを目指しているわけではないので、技術的にはまだ初心者でしょう。

有名な山には有名になるそれなりの理由があり、実際登頂が難しかったり非常に時間がかかる山に登ってみると、達成感は言い尽くせないものがあります。

でも、どんな無名の山であれ何の変哲も無い丘であっても、行ってガッカリしたことは一度もありません。何も知識が無い頃に地図も持たずに出かけて下山の時に遭難しかけたり、突然の雨でずぶ濡れになったり、下山して血眼になって温泉や銭湯を探したりすること全て含めてたまらなく楽しいんですね、これが。同行者とのおしゃべりも不思議とよく覚えているものです。

また、
山遊びの愉しみは道具選びの愉しみでもあります。日帰りのハイキングなら最低雨具を持っていく程度でいいのですが、テントや山小屋に泊まるとなると限られたバックパックの容量の中で、どの道具を持って、どれを削るか、どれを軽量化できるか、どの組み合わせが一番快適か、どの贅沢を妥協して我慢できるか、などあれこれ楽しく考えることになります。


サン=テグジュペリの言葉に次のようなものがあります。

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La perfection est atteintenon pas lorsqu'il n'y a plus rien à ajoutermais lorsqu'il n'y a plus rien à retirer.

(完璧が達成されるのは、加えるものがなくなった時ではなく、削るものがなくなった時である。)
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準備の最中にこの一文を思うことが度々あります。

登山は楽しい冒険でもありますが、反面あっけない程簡単に危険や生命の危機を味わうこともできる悩ましい娯楽なのです。山に入ったら感覚が麻痺してしまいますが、後で思い返すと背筋がゾッとする程怖い思いをしたことも何度もあります。

危機の回避策はいつでも対応可能なようできるだけ簡潔でありながら、想定範囲内全ての状況を網羅している必要があります。それだけではなくて、制限事項があるなかでできるだけ楽しく冒険するために試行錯誤して道具や計画を準備し、妥協をしながらを到着点を見い出していきます。

「完璧」とは何かを求め、半ば問答をしながら行動するような感覚は一回経験してみるとたまらないものがあります。






2013年1月8日火曜日

「恕」について

「恕」というと論語で有名ですが、この言葉の意味は辞書によると「ゆるす、思いやる、はかる」といった意味だそうです。

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子貢問日、「有一言而可以終身行之者乎。」
子日、「其恕乎。己所不欲、仞施於人。」

子貢が質問した「一生涯貫き通すべき一言とは教えてなんでしょうか。」 孔子は言った「それは他人への思いやりでしょう。自分がして欲しくしないことを人にしてはならなりません。」
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「ゆるす」というのはなにも悪を見逃すだとか、
懐柔されるというのでもありません。
人によっては一生許せない憎しみや怒りもあるでしょう。

ただ、
過ちはその度合によっては許されてしかるべきです。

憎むことは簡単です。
でも許すことは本当に難しい。
許すという行為自体が苦しみを生むことさえあります。

しかしだからこそ、
その苦しみを乗り越えたとき、その行為はより美しく尊い、
といえるのでしょう。

関西の芸人や韓国の元野球選手は罪を犯し、
数えきれない程多くの憎しみや怒りでギリギリまで追い詰められ、
一人は自ら命を絶ちました。

何が許せることなのか、許せないことなのか、
それは法律や慣習によって決められていることもあれば、
個人の人格によっても違うでしょう。

しかしこのネット社会は、
あまりにも簡単に憎しみや怒りといった負の感情を爆発させていまいます。

中東で起こった革命のように、
それが有用に働くこともあれば、
韓国のように何人もの命を奪うこともあるのです。

今一度、
「ゆるす」ということの大切さを
もう一度考えなおす必要があるかもしれません。