2013年12月24日火曜日

深川のグランチェスターハウス

前から気になっていた吉岡徳仁さんの展覧会を東京都現代美術館で見た帰り、ブラブラと清澄白河駅まで道を散歩していたところ、面白そうなギャラリーを発見したのでふらりと入ってみました。

http://www.shimura-hiroshi.com/gh/gh-01.html

オーナーは不在でしたがスタッフの方に色々お話を伺ったところ、オーナーは志村博さんという在英のアーティストで、シルクスクリーンの作品で有名な方だそうです。

ギャラリーの中は志村さんの作品とともに、志村さんがヨーロッパで集めたという古本やアンティークグラスがずらり。古本の中には19世紀の本などもあり、その保存状態の良さやら綺麗さやら珍しさに感動して結構長居してしまいました。

趣味の良いそれらのコレクションを見たり、とうの昔に忘れたフランス語やら英語の単語を眺めていると、行ったこともないヨーロッパの風景やら生活様式が浮かんできて、しばしの間うっとりとした気持ちになってしまいました。

実は深川に行ったのも初めてで、話や映像で見聞きしたようないわゆる江戸の下町情緒が残るとても面白い街でしたが、徒歩で行けば10分以内の場所に突然一軒ヨーロッパが現れ、美術館に行けば吉岡徳仁さんの作り上げたクリスタルの世界がある…。

偶然にも数時間の間に3つの全く違う空間を味わうことができましたが、日本というか東京に特徴的な複合文化の共存というものをはっきりと感じることができて、思いのほか楽しい一日になりました。

下駄の楽しみ

下駄を履くときの特別な気持ちというのは普段は味わえない快感です。

「下駄を鳴らす」ということばがありますが、履物で音を楽めるなんて風流なことですよね。

意外かもしれませんが、小雨くらいの日は下駄履きの方が靴履きより快適なことがあります。もちろんゴム長靴とか防水仕様の靴を除けばという程度の話ですが。

なぜかというと、まずは下駄は底と地面からの距離が靴より高いので水貯まりに入っても直接足が濡れることがありません。

また、下駄の歯は靴よりも地面との接地面が少ないので、いわゆる跳ねっ返りで後足が濡れることが靴よりも少ないのです。まあ多少濡れたとしてもさっと足と下駄を拭けば、後に嫌な匂いも残りません。

靴は草履・雪駄・下駄といった日本の履物よりも気密性が高いので水分やら匂いのもとが履物に残りやすくなってしまうことは否めません。「蒸れない」「湿気を残さない」ということは日本というか東アジアの伝統的な生活様式において非常に重視されてきたことですが、履物においても同じです。

無論「運動する」「長時間を踏破する」といった用途では靴の方が優れていることは否めませんが(地下足袋の運動性能の高さは別として)、例えば晴天時の街歩き等の用途では、音を楽しむという要素も加えて下駄履きも選択の中にあっても面白いのではないかと思います。

あとはまあ、下駄をどんな服に合わせるかいう問題もありますが、色々な着こなしで履いてみて自然と似合う格好を見つけられたらいいでしょうね。

2013年12月22日日曜日

vanson(バンソン)のモノ作り

バイクに乗るわけでは無いですが、ゴッツイ革ジャンが欲しくなりヤフオクであれこれ探して、vansonの「B」というシングルライダースジャケットをとても安く手に入れることが出来ました。

さっそく着てみると、想像以上の重さがあり一日着るだけで肩こりがするということと、まだ革が固くて腕を上下するにも苦労するという試練がありましたが、そんなことはほんの些事であるかの如くこのジャケットにはそれ以上の魅力があることがわかりました。

重さの問題はあるにせよ、なにより防寒着としてとても優れています。とても暖かいというのとはまた違うのですが、凍えるようなことは無いし、特に着ていてほとんど蒸れが無いというのは快適さにおいてとても大きいことだと思います。

フリースやダウン素材の防寒着は単純な暖かさという点では革素材の上をいきますが、これらは過熱しすぎて歩きまわっていると暑くなり汗をかくくらい蒸れが生じることがあります。革というのは不思議なものでやはり元々動物の体表にあったものだけあって、体温調整する仕組みが備わっているのでしょうか、保温性と透湿性のバランスがとても優れていると感じます。

嗜好的な面でいうと、このジャケットの革はやはり一級品だと感じさせるものがあります。ただし、一般的な高級革製品特徴である柔らかくて軽いとかいったものとは全く逆のでカチコチに硬くて分厚いのですが、野趣、耐久性という面で申し分ありません。

革の表面はテカテカに光るくらい艶々した光沢があり、それでいて触るとしっとりとした感触を楽しみことができ、それだけで革愛好家の皆さんはこのジャケットを手に入れた価値を感じることができるでしょう。



革靴を履き慣らすことと似て、手強い素材を使っていくうちに慣らして使いやすくすることは、とてもとても楽しいことです。

なにも無ければこれから10年以上の付き合いになる服でしょうから、この数年でどう育てていくかがこれから楽しみです。

2013年12月15日日曜日

ディーター・ラムスのデザインに思うこと

ディーター・ラムスの「デザインの10の原則」というものがあります。

1. 革新的である
2. 便利にする
3. 美しい
4. 分かりやすい
5. 慎み深い
6. 正直
7. 恒久的
8. 首尾一貫している
9. 環境に配慮する
10.可能な限りデザインをしない


彼の著名な作品は40〜50年前にデザインされたものがほとんどですが、今見ても全然色褪せない斬新さや美しさに溢れています。

ラムスがデザインを通して伝えたかったことは「消費し続ける文明に警鐘を鳴らす」ことだったといいます。

真に素晴らしいデザインと機能性を持つ商品は捨てられないし大事にされる。長く使える良い物を作るというごく当たり前の発想が根幹にあれば、流行には一歩距離を置かざるをえません。

過剰なマーケティングや宣伝からちょっと距離をおいてみる(残念ながら一切交流を断つと商売ができません)と、本当に有益なデザインのあり方がより鮮明になるのではないかと考えています。

Tricker’s(トリッカーズ)のモノ作り

トリッカーズのカントリーといえば、ある程度靴が好きな方なら誰しもが知っている名品の一つです。


この靴の魅力は武骨さと不便さを楽しむ、といったところでしょうか。


履きこむごとに味わいの増す、革靴の楽しさがダイレクトに感じられる最高の靴ですが、難点が無いわけではなく、例えば踵の作りがとても大きく、踵が小さい標準的日本人の足型の人が薄い靴下で履くと靴ずれが起きます。


登山に使うような厚手の靴下であれば問題ありません。もともと野外活動で使うことを想定して作られた靴ですので、靴下もそういった用途のものを合わせるのが正解でしょうね。

純正のシューレース(靴紐)はやや摩耗に弱く、結構すぐに靴紐を買い換える必要があります。化学繊維混紡の丈夫な紐に買い換えてもいいでしょうが、やはりあのカントリーブーツに合う紐は雰囲気からして純正品が一番だと思います。まあこれは各々の好みといったところでしょうか。

また中底に詰められているコルクの量が非常に多いため(これは後年の履き心地の向上に計り知れない恩恵をもたらすわけですが)、中底の沈み込みの分量が非常に多くなっています。


ですので、購入時にきついサイズを買っておかないと、後々かなりブカブカになってしまいます。JMウェストンの場合と同様にこちらも購入の際はかなりキツめのフィッティングのものを選ばれるのが良いかと思います。


最初の苦行は1年後の醸成された履き心地を楽しむための準備期間として考えたほうがよいでしょう。


こういうフィッティングを薦められるのも、きちんと自分の足型に合う柔軟性としなやかさを持つ高品質な革をきちんと使っている製品だからこそです。


良いレビューが溢れかえっている本当の名品だからこそ、事前情報をきっちり把握した上で自分にあった最高の一足を見つけて頂ければと思います。ちゃんと手入れすれば本当に一生ものですからね。

2013年12月10日火曜日

素顔

長渕剛さんの魅力は強さと弱さ、男らしさと女らしさ、優しさと粗雑さ、といった一見相反するものが同居している、なんとも「人間」なんだよなあ〜というところに尽きるのではないかと思っています。

頻繁に聴くことはなくなったけれど、たまに無性に唄いたくなり、恥ずかしながら気づけば夜道で一人唄ってしまうこともしばしばです。

好きな曲は数知れずですが、何回も何回も聴くのは↓みたいな感じです。

・素顔
・交差点
・祈り
・夏祭り
・何の矛盾もない
・シリアス
・裸足のまんまで



やっぱりバンダナ剛時代が一番だな…


アルバムだったら、私は『家族』が一番好きですが、一般的には『LICENSE』『昭和』『JAPAN』『JEEP』を聴いておけば間違いないと言われています。

癖があり過ぎて好みが分かれるとは思いますが、やっぱり一度とは言わず三回同じ曲をできればライブ音源で聴いてみてほしいな〜と思います。

その時にきっとこの歌手の本当の素晴らしさが分かるはず!

ホイポイカプセルが欲しい

某冒険漫画で何でもカプセルに詰め込めるという素晴らしい道具がありましたが、本当にこれあったらいいなあと思います。

カプセルハウスっていうのは、狭すぎず広すぎずのあの丁度いい広さが何となく冒険心をくすぐります。

いくらカプセルになんでも入るからといって、広い荒野に大豪邸が簡単にできても興ざめですし、冒険のやどにはちょっと窮屈で不便くらいが心地いいのかもしれませんね。

大魔王の故郷のあの星で、テント代わりにカプセルハウスっていうのが堪らなく羨ましかったなあ〜とふと思い出しました。

2013年12月8日日曜日

patagonia(パタゴニア)のモノ作り

アウトドアウェアメーカーのpatagonia(パタゴニア)は、自分の持っている衣類の中で、最も長く愛用しているモノが多いブランドです。

10年くらい前に買ったダウンセーターという商品は未だに現役で毎年着ていますが、全然ヘタれないし飽きることもありません。
普通に使っていれば全く壊れないし、ちょっとボロくなったくらいにもの凄く愛着が湧いてくるのが不思議です。

高機能ウェアはいくらでもありますが、「着古す」ということの楽しみを味わえるブランドはそう多くありません。

味わい尽くした服の末路までキチンと用意されているのは、単に顧客増のためのパフォーマンスでは無く企業理念の根幹であるからだと思います。

業種に関わらず、このブランドに見習うことは本当に多いと思います。




J.M WESTON(ジェイエムウェストン)のモノ作り

今まで購入した靴の中で、最もその作りの秀逸さに感動したものといえば、「J.M WESTON(JMウェストン)」の「GOLF(ゴルフ)」に尽きます。


見た目は休日のお父さんがよく履いていそうな極めてオーソドックスなデザインながら、素材・縫製・履き心地全てが完璧です。


ただ、履き心地については注釈が必要で、「1年後の」履き心地という方が正確ですね。


かなりタイトめサイズを購入して、革が自分の足に馴染むまで待つという方法を採ったため、履き始めてから最初の半年は履く度に足が悲鳴を上げているような状況でしたが、やっと革が自分の足型に馴染んできてくれた後は、もう極上のフィット感に生まれ変わってくれました。


素材は非常にきめ細かい上質なカーフを使っているらしく、すべすべでしっとりした触り心地はまるで赤ちゃんの肌のようです。(カーフという素材は元々そういうものだと考えると、複雑な気分ですがここは素直に感謝しましょう)


同じ価格帯の海外高級ブランドはいくらでもありますが、購入した後の個人的な納得感という点で、ここ以上のものはなかなかありません。


同じ製造者として、素材へのこだわりはもちろん、永続的なデザイン、つまり何年も使い続けられるであろうモノをずっと作り続けている点で、常に憧れを感じています。


ちょっと(というかかなり)高いですが、このブランドの製品は絶対に買って損は無いと思いますね。