2014年10月30日木曜日

最高の鞄

浅草の工房に発注した抜き型を受け取った帰り道、入場料無料というキーワードにつられて、ふらりと世界のカバン博物館に入ってみました。

無料ということで大して期待してなかったのですが、入ってみたらあらビックリで大変素晴らしい展示物の数々に大いに魅了され、しばし時を忘れて見入ってしまいました。

展示されているほとんどは、鞄が上流階級の仕立て品として作られていた50年以上前のものが大半でした。経年変化でボロボロになってしまったものもありましたが、特にイタリアやフランスで作られた鞄の作り、保存状態の良さには心底驚きましたね〜。高級鞄メーカーとして有名なヴァレクストラ(Valextra)のヴィンテージ物も展示されていましたが、はっきり言って今デパートに並んでいるものとは全くの別物です。

↓の画像の旅行鞄は60年程昔にイタリアで作られたものです。手縫いを随所に使った仕立ての見事さはもちろんのことですが、なにより革そのものの素材感、発色、艶はおそらく世界最高級でしょう。触ることはできませんでしたが、ガラス越しに見るだけでハッキリと伝わってきます。



話には聞いていましたが、熟練の職人(もちろん工賃は高い!)によって、じっくりと時間を掛けて(ものによっては一つの鞄を作るのに一ヶ月以上かかることもある!)作りこまれたオーダメイド品以上に品質の良いものは出来ないのだということが残念ながら分かってしまいました。商業化が進んだ近年の作品がほとんど無かったことからも出展者の意図が伝わってきます。

ただし、いつまでもノスタルジーに浸ることは出来ません。いくら作りが良いといっても上質な鞄が王侯貴族や上流階級しか買えないような状況はやはり不自然であるように思います。

芸術品はそれとして鑑賞するとして、昔より品質は劣るにしても、誰もが比較的高品質の鞄が手軽に買えるようになった現代の方がやはり良いのです。
今の状況を嘆くことより、この時代にあった最高のモノづくりを考えぬいてやっていく以外無いのではないか、と改めて思いました。

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